不倫慰謝料と離婚との関係についてのQ&A

文責:所長 弁護士 湯沢 和紘

最終更新日:2025年06月18日

Q離婚した場合としなかった場合で不倫慰謝料の金額は変わりますか?

A

 不倫が原因となって離婚にまで至ったという場合には、一般的に離婚に至らなかった場合と比べて不倫慰謝料が高くなる傾向にあります。

 不倫慰謝料は、不貞行為によって、不倫をされた配偶者の持つ平穏な夫婦生活を送る権利が侵害された場合に発生する損害賠償金と位置付けられています。

 ひとつの見方としては、不倫慰謝料の金額は、平穏な夫婦生活を送る権利の侵害の程度が大きいほど高くなるといえます。

 離婚にまで至ってしまったということは、平穏な夫婦生活を送る権利が完全に破壊されたということができますので、権利侵害の程度は大きいと評価でき、慰謝料も高くなると考えられます。

Q離婚した後に不貞行為が判明しても慰謝料請求はできますか?

A

 離婚した後に、元配偶者の不貞行為の存在が判明した場合であっても、不倫慰謝料の請求ができることがあります。

 離婚をした際に、離婚協議書に清算条項を定めていた場合、基本的に不倫慰謝料の請求はできないとお考えください。

 清算条項とは、離婚に関し、離婚協議書に記載した支払い義務や引渡し義務のほかには、お互いに債権債務がないことを確認する旨を記載したものです。

 清算条項は、損害賠償に関する和解書などにおいても広く用いられているもので、後になって要求が追加されることを防ぐためのものです。

 そのため、清算条項がある場合、不貞行為が存在していたことがわかったとしても、離婚後に不倫慰謝料を請求することはできません。

 次に、不倫慰謝料の請求権が時効によって消滅していないうちでないと、請求することはできません。

 不倫慰謝料の請求権は、一般的には、不貞行為の存在および加害者を知った時から3年間で消滅します。

 さらに、不貞行為の存在を証明するための証拠が取得できている必要があります。

 仮に訴訟を提起して不倫慰謝料を請求したとしても、不貞行為の存在を証明できる証拠がない場合、原則として勝訴することはできません。

 証拠がない場合、相手としては訴訟で敗ける可能性がない以上、示談交渉においても不倫慰謝料の支払い応じない可能性があります。

 不倫の証拠として有効となるものをまとめておりますので、ご覧ください。

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